遠浅の海、羊の群れ。

羊の群れは、きまって遠くの向こう岸で、べえやべえやとわなないている。

手記

道具を揃えれば、また何か新しいことに打ち込めるんじゃないかと僕は妄想する。

しかし、変な勢いで素晴らしく便利な物を手に入れたとしても、使わなければただのガラクタにすぎない。機械ならば起動せず、モノならば埃を被り、

 

夢中になれない。

本当にいい歳になってしまったのだが、子どもの頃、あんなに夢中になれていたことが不思議でならない。

夢中でいられる人たちが羨ましくて仕方ない。

頭の中をまとめるために、旧式のノートパソコンを開いてみたが、何を書いていいのかすらわからない。

あの頃、持っていたはずの情熱はいったいどこに行ってしまったのだろうか。

僕にとっての、楽しいこととはいったいなんなのだろうか。

集中力なんて15分も持たない。

仕事の打ち込もうと思っても、机の上に座っているのがやっとで、何をどうすればいいのか、まったくもって手につかない。

うつで休職して、復職して一年、楽しいと思えたことなんて数えるほどもない。

はっきりいってリハビリだ。

しかし、このままリハビリだけをして残りの人生を終えていくのは、どう考えてもつらすぎる。